
世界に誇る日本の名作「バタフライスツール」。
始まりは柳宗理の手遊び。
紙を切ったり、折ったり、曲げたりしているうちにたどり着いたある形を見て、椅子になるのではないかと思ったことがバタフライスツールのきっかけに。
アメリカのデザイナー、チャールズ&レイ・イームズの成形合板を用いたデザインを通じて成形合板の存在を知っていた柳氏は、形の実現のため成形合板技術に注目しました。
当時の日本ではほとんど知られていない技術でしたが、国内でいち早く成形合板技術を取り入れていた天童木工と共に開発をすすめ、バタフライスツールが完成しました。

同じ形の2枚の成形合板を真鍮金具でジョイントしたシンプルな構造。
成形合板を2枚組み合わせた姿が、まるで蝶が飛んでいるようなことから、「バタフライスツール」と名がつきました。
成形合板でしか出せない、やわらかい曲線が魅力です。
また、2枚の成形合板が互いに支え合う姿から結婚のお祝いの品として選ばれることもあります。
ルーブル美術館やニューヨーク近代美術館など、世界各地の美術館にコレクションされているデザイン史の傑作です。


1915年に東京に生まれる。東京美術学校(現・東京芸術大学)を卒業後、1942年に坂倉準三建築研究所に入社。1950年に財団法人柳工業デザイン研究所を設立する。その後バタフライスツールの原型をデザインし、それから数年間の研究開発を経て、1956年に銀座・松屋で開催された柳工業デザイン研究会展で発表された。1958年には、バタフライスツールがニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選定されている。1977年、父である柳 宗悦 氏の設立した日本民藝館の館長に就任。2002年には文化功労賞を受賞。