CHORUS(コーラス)を日進木工と共に作り上げた松岡智之氏の語る家具の良さとは

CHORUSを作り上げた松岡智之氏。

生活空間に情緒ある家具をしつらえ、人々の生活に心地よさや、潤いをもたらせたい…そんな思い出作ったのが、コーラスでした。

しかしただオシャレな家具を作るのではなく、しっかりとした１つのメインコンセプトと３つのサブテーマから作り出した家具がCHORUSです。

そんなCHORUSの良さをこの記事ではご説明していきたいと思います。

CHORUS（コーラス）とはどのような家具なのか。

「CHORUS（コーラス）」は2019年6月、岐阜県飛騨高山の家具製造メーカー・日進木工から発表されたシリーズです。「身体感覚」から導き出したというチェアは、彫刻的な佇まいを有しています。この有機的なフォルムは、曲げ木技術をはじめとする日進木工の職人たちの卓越した技があってこそ実現できたと言えます。

デザインとしてはデザイナーである松岡智之が得意とする北欧や中国の明調、シェーカーチェアなど、さまざまな椅子のデザインの要素を再構築したことで、多様な空間と重なり合って出来ております。様々な要素を取り入れそのエモーショナルな雰囲気を漂わせるCHORUSは、考え方の一つである「空間が奏でるハーモニー」とを体現しています。

松岡智之とは

1992年千葉大学工学部工業意匠学科を卒業後、同年、株式会社GK設計に入社。

ストリートファニチュアやサイン計画などの環境プロダクトのデザインに携わりました。また、デンマーク王立芸術アカデミーへの留学経験を持ち、日本国内の様々なメーカーでデザインを手掛けています。その後広松木工のデザインなども手掛けており、広松木工でも有名なデザイナーの「森宣雄さん」が唯一推薦したデザイナーであり、その活躍ぶりには目を見張るものがあります。

CHORUSをデザインするにあたって決めたコンセプト

松岡氏は2019年に発表したCHORUSをデザインするにあたって１つのメインコンセプトと３つのサブテーマをを設けてデザインを進めていきました。

メインコンセプト

「他の家具のように住んでいる生活空間に溶け込んでしまうような家具ではなく、もう少し表情を持たせてその家で生活する人の感性を刺激して人々の生活に豊かさや潤いを持たせることができないかと考えました。」

３つのサブテーマ

１つ目「彫刻的な佇まい」

「人々が生活していく空間の中には、絵画が飾ってあったり写真が飾ってあったり好きな音楽がかかっていたりしていますが、そういったものに囲まれて生活していき心が穏やかになったり勇気づけられたり、画期付けたりする作用があると思います。

同じような考え方でコーラスにも表情を持たせることによって、何か刺激を与えるような、ちょっと彫刻的な要素を持つ喜びみたいなものを与えられたらいいなと思いました。」

そんな思いでデザインしていることからまさにコーラスの手仕事の難しさが物語っているのではないかと思います。随所に用いられた高度な曲げ木技術、中央に膨らみをもつ4本の脚、3次元曲面の背板、丁寧な磨きなどがその例です。

２つ目「身体的感覚に心地よい造形の追求」

やはり家具は日常的に使うものなので心地良さがしっかりないと永く使って頂けないし、愛着も湧いてこないと思うので、その辺の心地良さの追求ということを丁寧にやりました。例えばこのアームの太さは常に触るものなので、心地良い太さに設計したりアームを置く幅や感触、さらには背あたりなどを作る際には自分の身体感覚で常に身体で触りながら削っていき追求していきました。

そういった心地良いものを作ることで生活者にとって心地よく永く使って頂けるのではないかと考えています。

３つ目「多様な空間との相性」

今回のコーラスチェアでは様々な歴史や文化では培われた造形要素を垣間見ることができるのですが、そういったものをもう一度再構築した造形として表現をしました。そうすることで、例えば北欧的だったり、東洋的だったり、いろんな空間に合わせやすい造形になったと思います。多様な空間に合わせることによって、より多くの空間、より多くの人々にこの家具を使って生活を楽しんで喜んでもらえるのではないかと思いました。

日進木工の魅力として１つにはデザイン性があります。シンプルモダンを追求しながら線は細いのですがしっかりとしており、身体を受け止める心地良さがあります。

もう一つの魅力としてはやはり、工場での技術力の高さです。今回は松岡氏とコーラスを制作しましたが、もちろん飛騨高山の曲げ木の技術をふんだんに使いコッピングマシンで加工し、さらに機械では出来ない所を本当に丹念に職人さんが手仕事で研磨されている姿を見て機械と手仕事をうまくミックスされて、一つ一つの製品を製作されている所にすごい魅力を感じました。