1970年、発売から10年を経たNo.79応接セットは、「みやじま」という愛称で呼ばれるようになり、1977年まで製造されました。
この愛称は、肘掛けから脚部にかけてのデザインが鳥居を連想させることから、マルニ木工の創業地である広島県宮島の厳島神社にちなんで名付けられました。このリビングセットは、日本の狭い居住空間にも適合する多様なレイアウトに対応する機能性を備え、多くの人々に愛されました。
30年の時を経てオークフレームチェアに
60VISION(ロクマルビジョン)への参加
前述した60VISION(ロクマルビジョン)への参加をしたのが2006年となります。
60VISIONの出来た背景には1960年代、日本の製造業者は「世界基準」となる自社の製品を作り出していましたが、時代の変化と消費の多様化によって多くが生産終了となりました。
ロクマルビジョンはそんな素晴らしい商品たちを、その商品に込められた企業のものづくりへの思いとともに掘り起こすロングライフデザインのブランドとして日本の本物を作った企業だけが集まれる仕組みとして、ナガオカケンメイ氏が発案・スタート。その活動が評価され、2008年度グッドデザイン賞も受賞しました。
マルニ木工はこのプロジェクトに賛同し、2006年にマルニ60(通称マルニロクマル)を立ち上げました。このブランドは、当時のデザインを維持しつつ、現代の生活環境に合うよう改良された家具を提供しています。
復刻版では、座面の内部構造を改良して快適さを高め、クッションには当時の定番色に加えて、現代的なテキスタイルを選択しています。
ミナ ペルホネンとのコラボ
その後の活動としては、ファッションデザイナー皆川明氏が代表を務めるファッションブランド「ミナ ペルホネン」とコラボするなど、当時のままの普遍的なデザインを活かしつつ、現代生活に向けての提案を行いました。
No.79の発売開始から60年を超える今もなお、新しい技術を盛り込みつつ、進化をつづけるフレームチェア。
まとめ
時代を経て何らかの理由で製造中止や廃番になったものの中には、普遍的な価値を持っているものも少なくありません。
MARUNI60は、そのような価値を持ったアイテムを復刻するとともに、当時は存在しなかった今の時代にも適応するプラスαのアイテムを付加することで構成されています。
MARUNI60はこれからも、流行に流されないものづくりの姿勢と、原点である創業者の想いと情熱を持ち続けると同時に、遊び心や楽しさという視点も忘れず、豊かな生活に繋がるような挑戦を続けていきます。